2021年10月24日(日)、明治大学のM-Navi学生委員会(*)の皆さんよりご依頼をいただき、3種の補助犬ユーザーさんたちとご一緒にオンラインでセミナーを実施しました。
当日のセミナーの様子を参加した学生の皆さんがまとめてくださいましたので、ご紹介いたします。
明治大学M-Navi学生委員会
補助犬を取り巻く問題について日本補助犬情報センター・専務理事兼事務局長・橋爪智子さまをお招きし、補助犬について・補助犬とユーザー様を取り巻く社会問題をユーザー様とのクロストークをしていただきました。
補助犬は盲導犬・聴導犬・介助犬の3種類あります。補助犬たちはそれぞれのユーザー様と一緒に暮らしながら、その生活お手伝いをしています。補助犬と暮らすようになったからこそ、前向きになれた、笑顔が増えた、というユーザー様のお話から、ユーザー様と補助犬の間にはお手伝いをする以上の信頼関係があることをしりました。
お店などでは、まだまだ補助犬の受け入れ拒否が多く補助犬への理解が進んでいるとはいえません。全員に優しい社会をかたちづくるには、まず正しい知識を持つことが大切です。
講師・ユーザーの皆様
この時間では、補助犬と一緒に暮らすユーザー様へわたしたちの質問をお答えいただきました!
まずはスタッフから「コロナ禍において大変なこと」「私たち大学生に伝えたいこと」をお聞きしました。コロナ禍で大変なこと、反対に家にいるからこそ新しく始めたことを紹介してくださったり、これから就職を迎える私たちへのメッセージなど、前向きな言葉をたくさんいただきました!
その後、参加者の皆様にも質問をたくさんいただき、皆様の大変高い意欲を感じました。特に多かったのは、ユーザー様を街中でお見かけしたときに私たちなにができるのか、補助犬と暮らしていて感じることについてが多く寄せられました。
そのお答えのなかで共通していたのは、想像力を働かせることが私たちが補助犬ユーザー様に寄り添う最も良い手段の一つだということです。想像力と話しかける少しの勇気が大切と気づきました。
参加者の皆様の感想を一部紹介します!
「障がいをお持ちの方から直接お話を伺うことが初めてだったため、自分では全く気が付くことができなかった視点を教えていただき想像力を持つことの大切さを再認識しました。お話の通り、お互いがお互いのできないことをカバーし合う考え方を持っていられるような人間でいたいなと思います。」
「実際にユーザー様からの声が聞けてためになりました。もし補助犬を連れているユーザー様を見かけたら声をかけようと思いました。」
「補助犬とユーザー様の間の絆に感動しました。素敵な関係性でした。「障害者の方」という見方を変えることが大事だと知れてよかったです。」
「ユーザー様の声を実際に聞くことができ、大変勉強になりました!」
参加者の方々、講師・ユーザーの皆様の写真。
*ウェブサイト掲載にあたり、M-Navi学生委員会様よりいただいた原稿の構成を一部変更しています。
元の原稿もぜひご覧ください!(下の画像をクリックすると、大きく表示されます)
*M-Naviとは“Meiji Navigation”を縮めたもので、明治大学で学ぶ学生をナビゲートするという意味を表しています。明治大学における学部や学科の中で学び身に付けていく「基礎学力」や「専門知識」に加えて、それらを上手く活用していくための「力」(社会人基礎力)を身に付けるためのナビゲーターの役割を果たす学生支援プログラムの一つです。教職員と有志の学部学生(M-Navi学生委員)で構成されるM-Navi委員会により運営を行っています。URL:https://www.meiji.ac.jp/campus/mnp/6t5h7p00000hfuo7.html
2020年12月初旬に京王プラザホテル(新宿区)で開催した「補助犬ユーザー参加型」のホテルでの避難訓練。今回は、後編として介助犬ユーザーさんの避難訓練の様子をお伝えします。(前編はこちらから)
【訓練の想定】
〇平日13時半ごろ。盲導犬ユーザー、介助犬ユーザーは30階ユニバーサルフロアに宿泊。
〇29階より出火、非常階段と非常用エレベーターにて避難。
〇非常用エレベーター避難中に地震が発生し、緊急停止し、閉じ込められた。
【介助犬ユーザーの避難訓練】
①介助犬ユーザーさんは非常用エレベーターで避難します。エレベーターを操作する係員さんも一緒に乗り込みます。
②ところが!降下中に地震が起こり、エレベーターが緊急停止、ユーザーさんは中に閉じ込められてしまいました。エレベーター設備の専門家が外から状況を確認し、安全が確認されたうえで、扉を開けてくれます。
③緊急停止の影響でエレベーターの入り口には15cmほどの段差ができてしまったため、複数人で車いすを持ち上げて段差を乗り越えます。車いすを持ち上げる際は、必ずユーザーに持ち上げるタイミングをお伝えします。また、持ちあげる人たちも掛け声をかけるなどして息を合わせて、地面と平行に車いすが上がるようにします。
(*閉じ込めの状況や、段差の発生はすべて訓練の設定です。十分に安全を確保して実施しています。)
【訓練終了後の座談会では…】
訓練練終了後には、座談会を開催しました。ユーザーさんたちからは、より良い声かけの方法や、避難設備についてお話がありました。訓練に参加されたホテルのスタッフさんも、熱心にメモを取ったり、ユーザーさんに質問をされており、とても有意義な座談会になりました。
今回の取り組みは、補助犬ユーザーさんがホテルをさらに安心して利用できる一歩につながったのではないでしょうか。(*座談会ではマスクを着用し、アクリルパネルを設置しました。)
日本補助犬情報センターでは、補助犬ユーザー参加型の「補助犬受け入れセミナー」を開催しています。オンラインでの研修にも対応しております。まずはお気軽にお問合せフォームよりご連絡ください。
2020年12月初旬、京王プラザホテル様(新宿区)よりご依頼をいただき、盲導犬&介助犬ユーザーさん参加型の避難訓練の一部をコーディネートさせていただきました。
今回の訓練にご協力いただいたのは、盲導犬ユーザーTさん&盲導犬Pくん、介助犬ユーザーSさん&介助犬Nくんです。ユーザーのお二人は、ホテルでの避難訓練という初めての経験に少し緊張されていたようでしたが、犬たちはホテルのふかふかのじゅうたんの上で、すっかりリラックスしていました。いつものホテルステイとは異なる環境のはずですが、落ち着いてユーザーさんの指示に従う様子に、さすが!のプロ意識を感じました。
(*コロナウイルス感染防止のため、訓練時には全員がマスクとフェイスシールドを着用しました。)
【訓練の想定】
〇平日13時半ごろ。盲導犬ユーザー、介助犬ユーザーは30階ユニバーサルフロアに宿泊。
〇29階より出火、非常階段と非常用エレベーターにて避難。
〇非常用エレベーター避難中に地震が発生し、緊急停止し、閉じ込められた。
【盲導犬ユーザーの避難】
①まずはお部屋で火災の状況を説明して、避難の準備をしてもらいます。お部屋でくつろいでいる場合、盲導犬はハーネスやリードを外していることがあります。
②廊下はユーザーさんに肩または肘を掴んでもらい誘導します。煙が漂っている場合は、できる範囲で身体をかがめてもらう必要もあります。慌てずに、周囲の状況を説明しながら非常口まで案内します。
③非常用階段は狭く、急な場合もあるため慎重に誘導します。階段の前では必ず立ち止まり、「今から階段を下ります(上ります)」と、階段の上下についても必ず伝えます。
後編では、介助犬ユーザーさんが非常用エレベーターで訓練した様子をご紹介します。お楽しみに!
こんにちは。現在8か月の男の子の子育て奮闘中、ママボランティアの仲野です。
補助犬初心者(?)の私が、補助犬に関するあらゆるレポートを皆様にお届けします♪
第二回目は手話歌ライブイベントと補助犬よろず相談会in MOFCA♪
2019年5月29日(水)、千代田区障害者よろず相談所MOFCAにて、手話歌ライブイベントと補助犬よろず相談会が開催されました。
まずは手話歌ライブ。ゲストは「サインヴォーカリスト」水戸真奈美さん。
サインヴォーカリスト・・・??
初耳です・・・。
なんでも「サインヴォーカリスト」とは、「歌詞に込められた想いを手話で表現しながら歌う歌手」のことだそう。
柔らかくも力強い歌声に引き込まれる~。
確かに、単に「手話をしながら歌う」という表現よりも、手話を「歌とは異なるもう一つの感情表現」として使われているというのがしっくりくる。
歌だけでも楽しめる、手話だけでも楽しめる、そして歌と手話とで楽しめる、そんな感じ。
見て、聴いて。会場全体が癒しの空気に包まれます。
続いて「つながる空」、「桜のメロディ」、「風の絆」などのオリジナル曲と共に、曲が生まれたエピソードトークを交えながら進行。
歌詞と一緒に流れるのは、東日本大震災被災地での地域の方々との様子、モザンビークの子供たちが表現する手話など、人と人、世界とのつながりを感じられる映像です。
ライブ中継だけでなく、合間に水戸さんが補助犬ユーザーの方と補助犬を紹介してくれたりと、遠くにいながら視聴者と距離が近いトークを展開。
行きたいけど行けない・・・という人でも一緒の時を過ごせるのは嬉しい。
最後は、手話歌教室。「あいさつの歌」を皆で手話しながら歌うという実践編。
水戸さんが先生になって手話振り付けをレクチャー。
私も子供と一緒に挑戦。
・・・面白いが、難しい~><
歌が早くて頭がショート寸前。
水戸さんがいとも簡単(そうに見える)に手話歌されるものだから油断していた・・・。
でも、皆でやるととても楽しい♪
水戸さんの「手話を覚えるというより楽しんでほしい」という言葉の通り、参加者の皆さんも楽しみながら歌いました。
連れてきた子どもも手遊びとして手話を楽しみ、手話って堅苦しいものではないんだな~という嬉しい気づき。
水戸さんは自分の声が聞こえない方々にも気持ちを伝えたい、と手話歌をはじめられたそう。
その純粋な気持ちがきっと手話を「声に出さないもう一つの歌」として感じられるのだなと実感したのでした。
ライブは次回も行われるそうなので、気になる方はこまめにチェックを!!
その後は、補助犬よろず相談会。
この日は飲食店関係者の方がいらっしゃり、盲導犬ユーザーの方、聴導犬ユーザーの方が、補助犬同伴での飲食店利用についてお話されていました。
相談会は子供から大人まで参加でき、補助犬ユーザーや補助犬利用を考えている方のみでなく、ちょっとした疑問も気軽に相談できるとのこと。
例えば、
◇お店で補助犬を受け入れるときに気をつけることは?
◇電車やバスで見かけたらどのように振る舞うのがベスト?
・・・など、日常で補助犬と出会った時に
「あれ、どうしよう @.@;」でなく「ようこそ^^」と言えるために出来ること、結構あるかも。
この相談会はまだ始まったばかりで、これから徐々に参加者も増えそう。
夏休みの時期は子供達の自由研究の場としても使えそう。穴場です。
それにしてもカフェのようなスペースでとても居心地がいい~~。
つい長居してしまいそうな温かな空間でした。
MOFCAは竹橋駅直結のパレスサイドビルにあり、便利な場所にあるのも魅力の一つ。
気になる方は是非覗いてみてくださいね♪
(第10回・UDアドバイザー通信)
初めまして。現在7か月の男の子の子育て奮闘中、ママボランティアの仲野です。
補助犬初心者(?)の私が、これから数回にわたり補助犬に関するあらゆるレポートを皆様にお届けします♪
第一回目はリディラバスタディツアー♪
松本さんと聴導犬チャンプ登場です。
手話通訳の方もいらしてくださいました。
テーマは「補助犬と身体障害について」。
まずは専務理事の橋爪智子さんが「補助犬」や社会が作り出す「障害」について、そしてゲストスピーカーである松本江理さん&聴導犬チャンプが、自ら考える「障害」について講演・実演されました。
「補助犬って日本にどのくらいいるでしょうか?」
・・・
答えは、盲導犬941頭、介助犬65頭、聴導犬65頭。
あれ。意外と少ない?小さい頃から電車などで補助犬を見てきた私としては意外な数値。
この少なさも関係しているのか、2002年に身体障害者補助犬法が施行されていても世間への浸透がされていないことで、いまだにお店や公共交通機関の同伴拒否が後を絶たないそう。
そんな補助犬やユーザーをとりまく現実を知ったところで、松本さん登壇。
こんにちは チャンプです
とってもかわいいトイプードル。
かわいい、かわいすぎる。参加高校生もざわざわ・・・
ベストを着ていなければとても聴導犬とは思えない。
(補助犬=しっかりめ(?)の犬という勝手なイメージ崩壊)
かわいい。かわいすぎる。
松本さんは、音が聞こえないのはどういう状態なのか、聴導犬がいることでどう変わったのか、分かりやすい例えを使いながら表現してくださいました。
危険であることや、注意を促す「音」が聞こえないことの不便さ、そして聴導犬がいてくれることで広がる可能性。
「出来るかもしれない」を増やしてくれる存在の頼もしさ。
あのかわいいトイプードルちゃんのすごさよ。
松本さんに音が鳴っていることをお知らせ
「障害があるとはどういうこと?」
「たまたま」世の中に目が見える、耳が聞こえる人が多いだけで、あたかも見えない、聞こえないこと自体が「障害」になってしまっているけれど実は、その「困った」や「不便」を作り出す環境自体が「障害」であるということ。
そんな松本さんのメッセージに参加者もうなずきます。
「正しく」「知る」ということは、知らないうちにしてしまう差別を防ぐことが出来る。
講演を通して「障害」について身近に考える機会をもらった皆さん。
一人一人が想像をすることで、少しずつ世界は変わっていくかもしれません。
次回は5/29(水)、MOFCA補助犬相談会の様子についてお届けします!
(第9回・UDアドバイザー通信)
今回、ママボランのプログラムを利用させていただき、育休中のママボランティアさんが子連れ取材をしてくださいました。
普段、障害がある方や、ましては補助犬ユーザーさんたちとは接点の無かった彼女に、当会の活動はどう映ったのでしょうか・・・
とってもリアルな取材原稿を投稿いただきました♪
会場には東京家政大学と淑徳大学の学生、板橋区役所の職員など、約20名が集まった。
ゲストには補助犬ユーザー様3名と、白杖利用者様1名が参加された。
まず、NPO法人 日本補助犬情報センター専務理事兼事務局長の橋爪智子氏が、現在活躍する補助犬の種類やその仕事内容、私たちが補助犬ユーザーや障害者の方との接する際に、何が大切なのか?などについてお話された。
皆さんは「身体障害者補助犬法」をご存知だろうか。
身体障害者補助犬法とは、公共施設やホテル、レストラン、病院などで補助犬を同伴する障害者の受け入れ拒否を禁じ、補助犬を同伴する障害者、そして補助犬が生活しやすい社会を実現するための法律だ。
記事を書いている私も、恥ずかしながら最近知った法律である。
この法律があっても、身体障害者の方が補助犬を連れて店に入ると入店拒否を受けることもあるのだそうだ。それは障害が無い私たちの無知から生まれる差別行動だ。私たちは知らないうちに障害者へ差別行動をしてしまっているかもしれない。だからこそ橋爪氏ら障害者支援を行っている団体は、身体障害者や、補助犬を取り巻く法律である「身体障害者補助犬法」や障害者の差別を禁じる「障害者差別解消法」を正しく理解し、勉強した上で障害者や補助犬と接してほしいと訴えていた。
また2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、内閣官房で「心のバリアフリー」検討委員会が発足された。橋爪氏も参画し、本日拝聴した動画「心のバリアフリー」も検討会でいろいろと意見を伝え、作成されたそうだ。
動画の中で、私が深く考えさせられた部分を、抜粋させていただく。
「相手との違いを知り、尊重すること、そして相手が求めていることを確認し、応えようとする姿勢、さらに相手がどんなことを求めていて、何を期待しているのかを確かめることも大切です。
相手を特殊な存在だと思い込むと、ためらいが生まれます。たとえ外国語が話せなくても、特別な技術がなくても一人の人として向き合い、互いにやりとりしていけば相手が何を必要としているのかがわかってきます。
これからの日本は多様な人々が共に生きる社会になります。お互いの個性を尊重し、だれもが自分らしく生きることができる、そんな差別のない社会を築き、未来へ残しましょう。そのスタートは今日、あなたから始まります。」
橋爪氏のセッション後は、本日のゲストの紹介があった。
まず、須貝守男さん。盲導犬は2歳・黒のラブラドールレトリーバー。趣味は音楽で過去にはドラムやフルートなどを演奏されていたそうで、見えなくなってからは音声ガイダンスサービス等を利用し、芝居や映画鑑賞を楽しまれているそうだ。
続いてセアまりさん。絵本の文章を書いたり、エッセイを書いている。
盲導犬は4歳・白のラブラドールレトリーバー。50歳の時に目が見えなくなることがわかり、海に潜ったことがきっかけでフリーダイビングを趣味で始めたそう。一息で87メートル進めるそうで、世界大会に出た経験をお持ちだ。
続いて中山利恵子さん。趣味はスキー。中学の頃からスキーを始め、自らと同じく視覚障害者で集まるグループを30年牽引されている。江東区で優しい街づくりの相談員をしており、様々なボランティア活動に参画されているそうだ。
紹介後、ゲストの皆さん4名を、会場内の各グループテーブルに招いて、自己紹介や雑談を行ったり、障害のある方が日々どのような目線や意識で行動されているかを学びながら、売店や区役所内の総合案内、トイレなどを一緒に巡った。
私は須貝様がいらっしゃるAチームに同行した。
Aチームは板橋区役所の職員が2名、淑徳大学学生が2名で行動した。
まず、職員女性が須貝様の横につき、エレベーターを使って1階に降りて、売店で飲物を購入。売店では視覚障害者の目印になる点字つきの製品がいかに少ないかに気づき、ハッとさせられた。
また、エレベーターの乗り降りの際、ユーザー様はエレベーターが来た時、音を聴いてエレベーターに乗り込むが、その時事前に乗っている人の存在がわかりづらく、人にぶつかってしまうことも多いそうだ。そうして聴いていると、わたしたちがいかに物が見える恩恵を与えられているかを知ることができた。
そうした気づきは、最後のセッションで各チームが感じたことをポストイットにまとめ、発表する場でも多く聴くことができた。各チームに素晴らしい気づきがあった。私は感心し、学ばせていただいた。
このイベントを通し、まずは来る2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を迎えるまでにわたしたちの意識改革が必要であることを大いに実感した。しかしこれは強制的にやっては意味がない。あくまで自然に行えることが重要である。
障害の有無にかかわらず、一人の人として向き合い、互いにやり取りするコミュニケーションを行ったうえで、サポートが必要な人に自然と手を差し伸べられるようになろう。
橋爪氏の言う魔法の言葉「何かお手伝いしましょうか?」が、現代の私たちの生活で
そして未来の日本で自然と飛び交う世の中になれば、全ての人にとって優しい社会を実現できるだろう。
以上
(第8回・UDアドバイザー通信)
2016年 9月29日、株式会社日の丸リムジンからのご依頼で、「身体障害者補助犬受け入れ研修」を行いました。日の丸リムジンは、ハイヤー・タクシーサービス等を展開していらっしゃいます。今回はハイヤー・タクシーの本社の方を中心に、盲導犬、介助犬、聴導犬、3種の補助犬ユーザーさんが揃った豪華な研修でした!!
後半は、3名の補助犬ユーザーさん達にインタビュー形式で、自己紹介と共に公共交通機関の利用についてお話をうかがいました。タクシーを利用する際にサポートいただけると助かることについてのお話は皆さんが一番気になっていたことのようで、皆さん真剣にメモを取っておられました。
補助犬ユーザーさんのお話を聞くことでその存在を身近に感じていただき、今後の受け入れに生かしていただくこともこの研修の目的です。研修終了後も参加者の皆さんは、積極的にユーザーさん達とコミュニケーションをとっておられ、大成功の補助犬受入れ研修となりました。
※参考情報: 日の丸リムジングループのWAOレンタカーでは、福祉車両のレンタルをスタートしています。ご関心のある方は、是非、お問合せください。
(第7回・UDアドバイザー通信)
講習会後半は、バスの実車を使わせていただき、実際のバス利用時のご案内を体験していただきました。バス停に到着した際には、外向けのマイクを使って行き先を伝えることや、空いている座席などに声で誘導する方法などを実際にやっていただきました。また体験中は、盲導犬を連れた視覚障害者だけに限らず、介助犬をつれた車いすユーザーが利用する際にはどのようにご案内したらよいのか、などを想定し、盲導犬ユーザーさんを交えて皆さんで活発に議論をされていました。
今回の講習で巣鴨自動車営業所の皆様は、補助犬や障害者に対してとても興味を持ってくださり、盲導犬ユーザーさんにも積極的に質問をされていた姿が印象的でした。
また、後日営業所の方から、講習会の様子をまとめたポスター(新聞)や、営業所内で募っていただいた募金による寄付もいただきました。講習を受けた方の感想を簡単にご紹介させていただきます!!
(都営バス巣鴨自動車営業所 講習受講者感想一部抜粋)
補助犬ユーザーさんに実際にお会いしてお話をすることは、補助犬理解や障害者理解の一番の近道だと思います。今後も様々なところで、こうした機会をご提供できるよう頑張ってまいります!!(第6回・UDアドバイザー通信)
補助犬用の排泄場所
スカイツリータウンでの補助犬の排泄に関しては、多目的トイレの他、「屋外スペースでの排泄希望」があれば、所定の場所へご案内いただけるルールとなっています。
日本の補助犬たちは、日本という公衆衛生マナーの厳しい国内での社会参加のため、排泄のマナーはしっかりと守れます。
ただ、海外では、犬を受入れる風土や公衆衛生観念が大きく違うので、多目的トイレ内で排泄処理ができるのは、日本の補助犬だけと考えても良いのでは無いか?と思われます。それだけ、日本の補助犬たちのマナーレベルは高いんですよ♪
補助犬の同伴を拒否する原因の一つに、『犬は不衛生』というイメージがありますが、これは、日本のペットのマナーが、残念ながら影響していると感じています。
ご近所で見かける、散歩中の犬たちはいかがでしょうか? 日本の昔からの飼い方では、電信柱におしっこをひっかけるイメージがありますが、これは「マーキング」といい、自分の縄張りを主張する、自分の存在を仲間に知らせるために行っています。しかしこれは、適切な時期に去勢手術をすることで、ほとんどの場合がなくなります(避妊・去勢に関しては、様々な病気から犬を守るためにも、補助犬でなくとも適切な時期に実施することをおすすめします♪)。
もし、癖としてなくならない場合は、社会参加をする補助犬としては「適性なし」ということで、キャリアチェンジとなります。ほじょ犬たちは、国の法律に基づいて認定されているわけですから、衛生管理・行動管理はきちんとなされていることが前提です。その中には、もちろん「排泄の管理」も含まれているのです。補助犬たちは、やたらめったら、その辺で排泄してしまうことはありません!
犬は生態学上、水分摂取の約2時間後にオシッコの量が多くなり、食餌直後や運動後にウンチが出やすいと言われています(もちろん人間と同じく個体差はあります)が、補助犬たちはそれぞれのトレーニングの中で、排泄のタイミングや仕方を覚えていきます。
トレーナーさんたちは、その個体それぞれのタイミングを把握し、それに合わせた排泄指示を行います。そして、ユーザーさんにそのタイミングを覚えてもらうことで、適切な時間と場所で、指示による排泄を成功させます。決して無理強いさせることなく、その犬のタイミングで、気持ち良く排泄できる管理をユーザーさんがしているのです♪ 人間の子どもと同じですよね♪ 決して我慢させられているわけではないこと、おわかりいただけると思います。
ワン・ツーベルト
ちなみに、盲導犬のユーザーさんは、視覚障がい者です。ハーネスから伝わる犬の動きの変化や様子を察知し、排泄管理をしておられます。写真は、盲導犬の排泄時の秘密道具「ワン・ツーベルト」!
ワン=おしっこ、ツー=うんち、なので、その指示に従って、ちゃんと補助犬たちは排泄を指示された時間、その場所で、できるんです!
簡単に装着でき、排泄物がビニール袋に収納されるようになっているので、周囲を汚すことなく排泄物の処理ができます。
この写真を見て、「かわいそう!」と思われる方もおられるかもしれません。やはり、中には「ワン・ツーベルトではできない!」とトレーニングが進まない犬も居ます。そんな犬には無理をさせることは無く、キャリアチェンジになって家庭犬になるか、または、排泄を建物内でしないといけないシチュエーションが少ない生活スタイルのユーザーさんの元に行くなどのマッチングがされます。
そもそも、「ワン・ツーベルト」が苦手な子にさせても、排泄コントロールができなくなり、結果困るのはユーザーさんですので、そこはきちんとユーザーさんが困らないよう、犬への負担も無い形でトレーニングされていますので、ご安心を♪
補助犬トイレ
また、介助犬ユーザーさんは、手に障がいのある方も多いので、排泄物の処理は難しい作業ですが、OT(作業療法士)・PT(理学療法士)の先生方と共同で様々なオーダーメイドの自助具を開発しておられます。そして多くのユーザーさんは、多目的トイレで、ペットシーツを敷いてその上で排泄するよう促すので、同じく周囲を汚すことなく処理が可能です。
補助犬ユーザーさんは様々な工夫と努力をしながら、補助犬と一緒に社会参加されています。それを知って頂ければ、安心して受入れられるはず♪
是非、応援してください♪ (第5回・UDアドバイザー通信)
当会では「東京スカイツリータウン®施設UD(ユニバーサルデザイン)アドバイザー」をオープン時より務めさせていただいております。2016年度で4年目になり、とても光栄に感じています。
なんと、スカイツリーと補助犬法。実は、お誕生日が同じなんです♪
スカイツリーのオープンは、2012年5月22日!
身体障害者補助犬法の成立した日は、2002年5月22日!
なんと、身体障害者補助犬法10周年!という節目の年に、スカイツリーがオープンしたんです。何ともご縁を感じます。そしてそのご縁が、本当に多くの方々の手によって繋がり、2012年5月22日のオープニングセレモニーにて、補助犬ユーザー3人が並んでテープカット! 歴史的瞬間を迎えたのでした……!
この時にご協力いただいたメンバーが、実は10年前の補助犬法成立の瞬間に、国会議事堂内で全員賛成の可決の瞬間を迎えたメンバーでもありました。とは言え、犬たちは皆、代替わりしておりました。それも何だか時の流れを感じ、感慨深かったことを覚えています。。。
【スカイツリーオープンの日】!
当会が2011年12月から、スカイツリータウン施設ユニバーサルデザインアドバイザーを務めさせていただいている関係から、このスカイツリータウンオープニングセレモニーに、補助犬ユーザー3名が出席させていただけることとなりました!
しかも、テープカットという大役です!!!
あいにくの小雨の中ではありましたが、厳かにかつ盛大にセレモニーは催され、その様子を後ろから見ていた私は、あまりの歴史的瞬間に、感激のあまり号泣してしまいました……準備や打合せのため、何度もスカイツリーさんを訪問させていただき大変でしたし、何よりユーザーさんたちには、遠方からもお越しいただきご負担をかけておりましたので、無事に実施できた安堵感に、ただただ感動でした。
テープカットに並んだのは、まさに10年前の補助犬法成立の瞬間、国会議事堂内で立ち会った各補助犬ユーザーの会の代表の皆さんでした。涙が止まらなかったのを、今も鮮明に思い出します。
周囲の方々からは???だったかもしれませんが(笑)、その歴史的瞬間を作るお手伝いができ、無事に当日を迎えられ、立ち会えたことに、ただただ感謝の気持ちで、涙が止まりませんでした……。
そんなご縁から始まったスカイツリータウン施設UDアドバイザーのお仕事、あれから4年。引き続き、大切に取組んで参りたいと思っております。(第4回・UDアドバイザー通信)
当会では「東京スカイツリータウン®施設UD(ユニバーサルデザイン)アドバイザー」をオープン時より務めさせていただいております。2015年度で3年目になり、とても光栄に感じています。
オープニング前に、障害当事者の方々、20名ほどによる確認会を実施しましたが、今回はオープン後、初めてとなる確認会を実施しました。オープンしていることもあり、個人単位での確認会をプログラムしましたのでその様子をご紹介します。
聴導犬の大切なお仕事の1つに、聴覚障害があることの“目印”になることがあります。聴覚障害とは「見えない障害」なのです。 社会参加の上で、何がバリアになるかと考えますと、情報をいかに入手できるか?にかかってきます。音声情報は入ってこないわけですから、文字情報をいかに入手できるか?が最も重要です。
スカイツリーさんでは、素晴らしいコミュニケーション支援シートをご準備しておられます。
【バリアフリーガイド】ではなく、【ユニバーサルサービスガイド】であることに、非常に意味があります。
障害がある方を特別視するのではなく、「東京スカイツリーでは、小さなお子様をお連れのご家族や、ご高齢の方、障がいをお持ちの方、海外からいらっしゃった方など、誰もが展望台での体験をお楽しみいただけることをめざしてユニバーサルサービスガイドをご用意しております。」
( ユニバーサルサービスガイド(PDFファイル) より抜粋)
このコミュニケーション支援シートがあれば、最低限必要なコミュニケーションをとることができます。言語による意思疎通=コミュニケーションです。聴覚障害者は「コミュニケーション障害」とも言われていますので、このシートがあれば、聴覚障害者の中でも特に音声言語で話せない方にとっては、大変助かると思われます。その他にも活用は広がりそうですね。
しかし、問題は、このシートがあることをいかに知っていただくか?です。存在を知っていただき、入手していただいて初めて意味を持ちますので、今後はそれをどのように伝えていくか?が課題となりました。もちろん、筆談ボードを置いていただく他、手話を学んでいるスタッフの方も増えているようですので、様々な取り組みからさらに利用しやすい施設を目指していただく確認ができました♪
最後に、視覚障害者・肢体不自由者・聴覚障害者 各アドバイザーが揃ってのフィードバック会議を実施。話し始めるときりが無いくらいでしたが、双方にとって、非常に有意義で充実した内容となりました。今後、今回の確認会で出てきた問題に関して整理しながら、必要な作業を進めていくことになり、実際に取組んで頂いております。
地道なスパイラルアップ!=施設UDに関して最も大切!だと感じています。
(第3回・UDアドバイザー通信)
当会では「東京スカイツリータウン®施設UD(ユニバーサルデザイン)アドバイザー」をオープン時より務めさせていただいております。2015年度で3年目になり、とても光栄に感じています。
オープニング前に、障害当事者の方々、20名ほどによる確認会を実施しましたが、今回はオープン後、初めてとなる確認会を実施しました。オープンしていることもあり、個人単位での確認会をプログラムしましたのでその様子をご紹介します。
肢体不自由者の方が施設利用するにあたり影響することとして、一番みなさんの中でも思い当たるのは「段差」ではないでしょうか? ただ、最近の建物においては、段差に困る設計はほとんどなくなってきています。歩行困難者・高齢者のために段差を極力なくし、スロープを設置するなど対策がなされています。次のステップとしては、その「スロープの距離や角度がどうか?」という点を見ていかなければなりません。
そのほか、意外と皆さんが意識しないと思われるのは「駐車場」です。車椅子を使用されている方で、単独で車の運転をされる方は意外と多くいらっしゃいます。 単独の車椅子使用者は、車椅子から移乗して車椅子を折り畳んで後部座席に積み込む!という大変な作業が必要なので、車椅子マークの駐車場しか利用ができません! それを知っていてくだされば、車椅子マークの駐車場を健常者が利用するようなことは、起こらないのではないかと思います。
やはり、肢体不自由者の場合、ハード面の障害が最も影響してきます。外出先のトイレ事情は最重要ポイントです。 最近の障害者用トイレは、「みんなのトイレ」と呼ばれることも多く、詰め込みすぎ感があります。多目的に使えることは重要ですが、ここで大切となるのは「このトイレしか使えない人がいる」ということを、他の利用者が知っているかどうか?だと思います。駐車場問題と、まったく同じですね。
『ハードを変える』ということは、費用も時間もかかる場合が多く、非常に難しいです。となると、できることは『ソフト面』=人的対応でいかにカバーできるのか?が、何より大切になってきます。
その他、床材の材質については、すでに毛足の短い素材を選んでくださってはいますが、じゅうたん敷きは豪華ではあるものの、車椅子の操作性は非常に難しくなります。今後、張り替えなどされる際には、そのあたりも考慮いただきたい旨をお伝えしました。
あとは、いかに他のお客様と同様に(当たり前に)楽しめるか、に関して、スタッフの方々の対応や声かけなど等を確認してまいりました。
当会がスカイツリーさんから相談を受けましたのは、オープン半年前。すでに設計は確定し、工事も進んでいる中でした。多くの企業さんがそうですが、設計は設計のプロに頼むわけで、その通り出来上がったものを運用していくことになります。その時点からご相談を受けることがほとんどですが、そこからでは、ほぼハードを変えることは無理です。となると、いかにソフトで対応できるかどうか?にかかってきます。よって当会では、ハード面において「どんなふうに困る人がいるか」を知ってもらい、そんな時に「どのようなお手伝いができるか」の部分に力を入れてお伝えするようにしています。
スカイツリーさんは、スタッフの皆さんの対応が素晴らしいです。企業として、「すべての方が利用しやすい施設を目指そう!努力を続けよう!」という姿勢が感じられ、お手伝いさせていただきながら、非常に気持ちがよいです。(第2回・UDアドバイザー通信)
当会では「東京スカイツリータウン®施設UD(ユニバーサルデザイン)アドバイザー」をオープン時より務めさせていただいております。2015年度で3年目になり、とても光栄に感じています。
オープニング前に、障害当事者の方々、20名ほどによる確認会を実施しましたが、今回はオープン後、初めてとなる確認会を実施しました。オープンしていることもあり、個人単位での確認会をプログラムしましたのでその様子をご紹介します。
入り口付近のアクセスから確認です。点字ブロックの位置や触地図(フロアマップが凹凸で作られており、視覚障害者が手で触りながらマップを確認します。)、音声案内、チケットカウンターでの対応、各所に設置されている点字案内の確認、トイレの確認、そして何より大切なスタッフの皆様の声かけ対応等、様々な視点からの確認を行いました。この確認をする当事者の方は、様々な神経を張り巡らせなければならないので、大変だと、同行していて思いました。とはいえ、当事者でなくてはわからない視点がたくさん、やはり当事者の方のご協力なくしては、ありえません。
今回とても新しい発見が1つありました。
4階東京スカイツリーチケットカウンターでおつりをもらう時、「介助者ではなく、当事者に話しかける」や、「お札とコインを別々に説明して手渡しする」などという基本的なことは当然ではありますが、今回、展望台のチケットとレシートが同じ材質&形状だったので、区別がつかなかったのです。発券機から、入場チケットとレシートが同じ紙に印刷されて続けて出てくるので、渡された際に、触った感覚では区別がつきません。ですので、視覚障害者Nさんからは「チケットとレシートがわかるよう、スタッフの方には、レシートを折って渡すなどの配慮をしていただけると、助かります。」とアドバイスをいただけました。これは、実際にやってみないとわからないことでした。
施設の様々なところに貼ってある点字の確認もしていただきました。中には削り取れていた場所もあり、これこそ、点字が読める方でないとわからない部分ですので、せっかく貼ってあるのに読めない!ではもったいないです。定期的な現場確認は非常に重要だと感じました。
Nさんからは、日常生活の点字にまつわる様々なエピソードをお伺いできました。中には、故意にはがしたり削ったりする方がおられるそうです。それはとても残念な現実です・・・
確認を進めながら、展望台へ。もちろん、視覚障害者の方は見えないのですが、一緒に行った人と「こっちの方向には○○が見えるよ~」などと話すことで十分楽しむことができます。例えば、スカイツリーの模型を触ることで、どんな形のどの部分に自分がいるかを想像する事ができ、楽しい時間を過ごすことが可能です。 (第1回・UDアドバイザー通信)